「作業」と動作と活動の違い?
以前、作業って何か?作業科学というものについて話しました。
作業って何だろう - OT YueiのHabil(ハビリ)ブログ
そこで少し違う視点から「作業」と「動作」と「活動」の違いを話します。
「作業」は誰もが使う言葉
作業という言葉は、作業療法士に限らず誰もが使用する言葉です。
ある人は仕事をすることを作業と呼び、またある人は物づくりを作業と呼んだりします。(手作業など)
農作業や、流れ作業、単純作業などといった使われ方もされます。
このように、「作業」という言葉は、専門職がその中核概念として使用するには、あまりにも一般的であり、多くの人々に、それぞれの捉え方によって使用されている言葉であることがわかります。
それは作業療法士自身もまた、「作業」の概念を自己解釈の範囲で捉えてしまう可能性を示唆しています。
もし、作業療法士が一貫性をもって作業を捉えることができなければ、当然作業を中核概念に置く作業療法の理解にも一貫性の欠如が生まれてしまいます。
それでは、作業療法士が専門職として作業をどう捉えるべきなのか。
その作業そのものについて考えようという動きがあり、誕生したものが作業科学です。
動作とは何か?
動作(movement)とは、何かをしようとして身体を動かすこと、またはその時に生じる動きのことである。また動作は人だけでなく、機械が作動する場合などにも用いられる。
では、活動とは何か?
活動(activity)は、動くこと全般をさす言葉であり、募金活動のように人がすることをさす場合もあれば、眼球活動のように、身体の一部分のみの動きをさす場合もある。また、火山活動のように、人以外にも使用される。
これらに対して、
作業(occupation)は過去に様々な定義づけがなされ、議論が続けられてきており、現在でも統一された定義は存在しません。
ただし、過去に提唱されてきた様々な定義(カナダ作業療法士協会やKilhofner、Clark,et alなどによって提唱されたもの)の共通点をまとめると、作業は人が日常生活で行う活動であり、個人や文化によって意味や価値が付与されたものであることが言えます。
つまり、作業は単に人が行う動作や活動をさすのではなく、日常的に関わりが深く、かつ意味や価値をも含んだ包括的な概念として定義されています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
自閉症と腸内細菌
自閉症と腸内細菌
僕がブログで『発達障害と栄養』について書くようになった理由をまとめて書きたいと思います。
タイトルの「自閉症と腸内細菌」という記事をインターネットや、本で見るようになったのがきっかけです。
その記事がこちら⬇
自閉症、腸と脳のつながり明らかに | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
近年、腸内細菌との関連性は注目されています。
自閉スペクトラム症の子どもに限らず、ADHDの子どもにも共通して、何らかの腸内での問題があることが取り上げられています。
そして、腸から吸収される栄養が人の行動や感情に働きかける神経伝達物質のもととなっています。
その神経伝達物質をコントロールするために薬を飲んでる発達障害の子どもは多くいます。
この神経伝達物質に作用する薬は、向精神薬といって、精神科で用いられるような薬のため、即効性がある分、副作用が心配されます。
僕は高齢者の入院が主の病院で勤務していた経験がありますが、その入院してる患者さんの中には「うつ病」の既往歴があり、抗うつ薬を常時内服している方でした。
その方は抗うつ薬の副作用の影響か、薬剤のパーキンソン二ズム(薬の影響から起こるパーキンソン病に似た症状のこと)が現れていました。
こういった方を見ていると、同じ向精神薬である薬を発達障害の子どもに毎日服薬することを僕は勧めたくありません。
子どもの将来が非常に心配です。
もちろん、向精神薬を内服しているからといって全ての方に薬剤性のパーキンソン二ズムが現れると限っているわけではありません。
その他にも、発達障害の子は食事に関して偏食が起こりやすいです。
これは、口腔周囲や内側の感覚過敏などの問題や視覚から入る食べ物の形態など、発達障害特有の感覚の問題から起こる特性です。
そのため、偏食によって偏った食事になることで栄養不足を心配する保護者の方は多いのではないでしょうか?
他にも色々な理由があって、「発達障害と栄養」を考えるようになりましたが、
作業療法士としての視点として
子どもに関係なく私たちが毎日おこなう作業
の『食事』は非常に大切であると思います。
これらの
- 服薬
- 偏食
- 栄養状態
などの課題も含めて、腸内細菌の改善がその子にとって良い方向に変わることを期待して、ブログでも書いていこうと思いました。
では、どのようにして腸内細菌の状態を改善するか、具体的な内容や、腸内細菌の改善に加えて摂取した方がいいサプリメントについても書いていこうと思います♪
最後まで見ていただき、ありがとうございました!!
発達障害と栄養 5
リーキーガット症候群を引き起こすカンジダ菌
以前書いたブログで、リーキーガット症候群を引き起こすカンジダ菌について少し書きました。
今回はその続きで、踏み込んだ難しい内容になりますが、
カンジダ菌がどのようにして腸内に影響を与えるか研究されてる内容も含めて書こうと思います。
自閉スペクトラム症や自己免疫疾患などの研究をおこなうグレートプレインズ研究所の創始者で、生化学者であるウィリアム・ショー博士は、カンジダ菌の腸内での増殖は、自閉症に共通した状態であり、菌が放出した毒素が発達障害の症状を悪化させるとも述べています。
カンジダ菌はアルコールやホルムアルデヒドなどの有毒な代謝物を生成しますが、
それらは町から吸収され血液中に流れ込みます。
そして、脳に到達して悪影響を与えるようです。
ここからさらに難しい話になりますが、
カンジダ菌の代謝物がいかに脳に悪影響を与えるかということについて、ここでさらに詳しく取り上げていこうと思います。
先ほどのショー博士によると、カンジダ菌は異常な糖誘導体(糖分の一部を変化させてできる化合物)を生成し、これが糖の一種であるアラビノースに変換されます。そのアラビノースが最終的に形成する生成物にペントシジンという物質があります。
ペントシジンは、タンパク質の機能を変化させる性質があり、神経原繊維変化の形成に関与していると言われています。
神経原繊維変化とはアルツハイマー型認知症の脳全体で見られる神経の変化で、これが起こると神経細胞は正常に機能しなくなります。
つまりカンジダ菌の代謝物が最終的に脳細胞の機能を破壊し、脳の構造を変え、発達障害の子どもによくあるような認知障害を引き起こす可能性があるのです。
ちなみに、発達障害の人の脳のチューブリン(神経細胞の一部であり、神経突起の成長を促す)に水銀の害が及ぶときも同様の神経原繊維の変化が観察された、という報告があります。
カンジダ菌の害はそれだけではなくありません。カンジダ菌から放出される有害な代謝物は腸の粘膜に炎症を引き起こします。炎症があると腸の粘膜は荒れるため、これもリーキーガット症候群を発症させる原因の一つになります。
このようにカンジダ菌は、発達障害の根本的な原因ではありませんが、症状を悪化させる大きな要因となるのです。
実際、多くの発達障害の子どもがカンジダ菌増殖の問題を抱えていることが検査などによりわかっています。
人-環境-作業(P-E-O)モデル
作業遂行とは?
どうも、Occupational Therapist(作業療法士)のYueiです。
作業療法士は支援する「作業遂行」とは何か。
人-環境-作業モデルからお伝えしたいと思います。
May Lawは、人-環境-作業モデル:P-E-Oモデルの中で、人と環境と作業を3つの円で書いています。
※少し見づらいかもしれません(笑)
作業遂行とは3つの円が重なり合う部分、
つまり人、環境、作業の相互交流の結果であることを示し、円の重なりが最大となるとき、作業遂行は最適な状態となるとしています。
どれかひとつの円を強調することなく、
人、環境、作業がすべて同じ大きさで描かれていることも興味深いと思います。
このように、作業遂行とは、単に作業に必要な動作だけを行うことだけをさしているのではなく
人-環境-作業のダイナミックな相互作用をさしているといわれます。
そのため、作業療法士が作業遂行を支援する際に
クライエント自身や、クライエントがおこなう作業、クライエントの所属する環境への働きかけをしています。
この人-環境-作業モデルを例に、僕がブログをおこなうのは理由を書いてみます。
ブログを書くことで、
「人」への働きかけ
⇒このブログを見ていただいてもらってる作業療法士や作業療法士でない方(リハビリテーションに関わる職種やこれからリハビリ職を目指そうとしている方、作業療法を知らない方など)も含めています。
「作業」への働きかけ
⇒作業療法士の方が作業療法という作業をおこなうための知識や理論の提供をブログで書いていきます。
「環境」への働きかけ
⇒作業療法士の所属する文化的・社会的・制度的・物理的な環境で、作業療法士が働きやすくなるように、作業療法とはどんなものか、作業科学とはどんな学問か、書いていこうと思ってます。
自分なりに今の作業療法士と視点を踏まえて書かせていただきました。
文章だけで説明するのは難しいですね(笑)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
作業療法士は第6位!?
どうも、作業療法士のYueiです。
タイトルの記事を見てもほとんどの人が何のことかわからないと思います(笑)
これは
2013年、イギリスのオックスフォード大学の研究で出された論文の内容のことですが
「コンピュータ技術が進んでも生き残れる職業」
という研究で、作業療法士は702の職種中
第6位と報告されています。
(オズボーン著者ー「雇用の未来」)
コンピュータ技術にはロボットなどの研究も含まれます。
もちろん、コンピュータの発展に伴って医療技術も発展し、多くの領域で人の代わりをしてくれるだろうと期待されています。
そして、医師がおこなっている診断や手術のかなりの部分でさえも、コンピュータが担えるようになると考えられています。
ちなみに同研究では
医師は15位
看護師は46位
となっています。
作業療法士が6位にランク付けされたということは、
コンピュータ技術がどれだけ発展しても、需要が減ることがない、将来的にも有望視される職業として認められたといえます。
この記事で言いたいことは
『作業療法士って凄いでしょ!?』
ということではなく
作業療法士は将来的にも期待されてる職業であることを同じ職種の方に知ってもらい、自分の仕事のモチベーションとして持っていただければなと思います。
日本語でも作業療法士という名前は知られるようになりましたが、具体的に何をしているのかはあまり理解されていないのが現状です。
僕のブログは作業療法士がどのような仕事か知っていただくためのブログであり、作業療法士の方々がより働きやすいものとなる内容のブログとなればいいなと思って書かせていただいています(^_^)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ブログ名に悩む作業療法士…(笑)
タイトルの通りの内容を書きます(笑)
ブログを2019年の1月から始めたわけですが、
ブログの名前に悩んでおります…。
(この記事は2019年3月14日に書いてるブログです)
『そんなにこだわらなくてもいいじゃん?』
って思う方もいるかもしれないですが
どういう内容のブログを書いてるのか、ブログの名前から伝わりやすい方がいいかなって思ってます。
それで
以前、『リハビリテーションって何か?』のついてブログで書きましたが、その内容からヒントを得てブログの名前を考えました!
候補として3つ挙げました。
①Habil(ハビリ)ブログ
②Habilis(ハビリス)ブログ
③Habilitate(ハビリテート)ブログ
結論からいうと、とりあえず
Habil(ハビリ)ブログにしました。
前のブログでも書いたように
ラテン語で②の『habilis』は
「人間らしい」
「できる」
という意味になります。
そして
③の『habilitate(habilitation)』は
「適合する」
という意味です。
re-habilitation(リ-ハビリテーション)だと
「再び適合する」
という意味になります。
①の『habil』の意味は
「有能」
「役立つ」
「生きる」
などがあります。
①の『habil』のブログ名をした理由は
単純にこの3つの中で一番短い言葉だったからです(笑)
もちろんしっかりした理由もありまして
このブログを見ていただく方に対して、
Habilー生きる上で役に立つ有能なブログでありたいという思いから、この名前にしました。
そして、
リハビリテーションは子どもの場合『ハビリテーション』であるとブログでも書きましたが、
リハビリテーションを略して「リハビリ、リハビリ」と耳のすることは多いと思います。
それに対して、僕は子どもの分野に携わっているので
ハビリテーションという言葉を聞くことも少ないですが
リハビリテーションの略の「リハビリ」ではなく
子どもの方では略して『ハビリ』という言葉が広がるようにと考えて、この名前にしようと思います。
ブログの冒頭で書いたような
ブログの名前からどんな記事の内容が書かれてるかわかるブログ名にしようというコンセプトからは、かなり外れてしまいましたが(笑)
ブログを書いていくなかで、また名前が変わることもあると思いますが、とりあえずはこれで行きたいと思います(^_^)/
発達障害と栄養 4
今回は、リーキーガット症候群の原因となろうる『カンジダ菌』のついてお話します。
カンジダ性皮膚炎、カンジダ性膣炎などの原因となる真菌(カビの仲間)です。
私たちの体は他の細菌と真菌が共存している状態が普通であり、腸内のカンジダ菌も体が健康であれば善玉菌と共存しているため、特に問題をもたらすことはありません。
しかし、
何らかのきっかけで腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、体に害を与えるほどにカンジダ菌が増殖します。
そのバランスを崩すきっかけの一つが、以前のブログで書いた、腸の粘膜機能を低下させる原因として挙げた抗生物質です。
リーキーガット症候群を引き起こす抗生物質についてのブログはこちら
⇒
発達障害の子どもは免疫力に問題があることがわかってきています。
発達障害のある子は耳の感染症になりやすい、という指摘もあります。
そして、風邪や中耳炎などの感染症で医師にかかると、必ずといっていいほど抗生物質が処方されます。
そこで問題となるのが抗生物質なのですが
抗生物質は病気の原因となる細菌を死滅させる一方で、腸内の善玉菌など体に役に立つ細菌にまで影響を及ぼします。
抗生物質により善玉菌の勢力が弱まってしまうと、カンジダ菌が増殖し始めます。
いったんカンジダ菌が増殖すると、再び善玉菌が元の勢力を取り戻すのは容易なことではありません。
こうして
一度、抗生物質からの被害を受けただけで善玉菌の勢力が弱まり、腸内の免疫力が低下します。
すると、感染症にかかりやすくなり、さらに抗生物質が必要になるという悪循環に陥ってしまうのです。
⬇
⬇
カンジダ菌増殖
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感染症にかかりやすくなる
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カンジダ菌のさらなる増殖
というサイクルになるわけですね…。
このような「抗生物質による免疫力低下」という悪循環は誰にでも起こりえますが、
発達障害の子どもには特に深刻な影響を与えるようです。
次のブログで、よりカンジダ菌についての研究に関するお話をしようと思います。
※参考文献