作業科学における作業バランス
義務と願望
作業科学と健康の関連性
今回は、作業科学の中で話されてる作業バランスと健康との関連性を書いていこうと思います。
作業科学の中では、日常の作業を4種類に分けられてるといいます。
仕事でも「しなければならない」と思う場合もあれば、「したい」と思う場合もあります。
「したい」と思って遊びのつもりで始めても、「しなければならない」ことになってしまう場合もあります。
そこで、作業を
「しなければならない」という義務の作業なのか、
「したい」という願望の作業なのかを問い、両者のバランスをみていくという方法があります。
典型的な1日を選んで、朝から夜までの日常の作業を書き出します。
その後それぞれの作業について、
その作業をしなければならないか・しなくてもよいか(義務かどうか)と
したいか・したくないか(その作業をしたいという願望があるかどうか)を考えます。
日常の作業には
- しなければならないけど、したくない⇒義務作業
- しなくてもよいけれど、したいこと⇒願望作業
- しなければならないし、したいこと⇒義務・願望作業
- しなくてもよいし、したくもないこと⇒無意味作業
の4つとなります。
一人ひとりの最良のバランスが何%ずつになるのかが決まっているわけではありませんが
これらの4つの作業のうち作業バランスが
義務作業が2割、願望作業が2割、義務・願望作業が6割で、無意味作業がほとんどない人は健康な暮らしをしていると研究されています。
この4種類の作業バランスの偏り方が、生活の質(Quality of Life )の指標となると考えて研究している人もいます。
僕の場合の、『作業科学』のみに限局したバランスでいうと
「作業科学を学ぶこと」はしなくてもよいが、したいことなので『願望作業』であると言えます。
「作業科学を伝えること」は作業療法士の立場としても、しなければならないと思うし、したいことなので『義務・願望作業』であると考えます。
つまり、単純に作業科学と作業療法が大好きなんですね(笑)
僕のブログはこういった好きなことを発信していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
作業療法士は「誰」を支援するの?
以前のブログで、作業療法士が支援する3つのことを書きました。
では具体的に誰を支援するか、書きたいと思います。
それは、疾患や障がいの有無にかかわらず
作業に問題がある人(たち)
です。
「あれ?疾患や障がいがある人を支援するんじゃないの?」
と思われた人もいるかもしれません。
作業療法の対象となる作業に問題がある人とは、具体的には次のような人です。
- したいことができない人
- したいことができるけど、うまくできない人
- することが見つけられない人
- しなければならないことが多すぎる人
- 自分にとって意味の感じられることをすることができない人
- 自分で自分のしたいことがわからない人
- 自分にはこれしかできないと思わされてしまっている人
- 自分に何ができるかわからない人
作業に問題があることを
作業療法では「作業機能障害」といった言葉で表したりします。
多くの作業療法士は、疾患や障がいがある人の支援をおこなっています。
それは疾患や障がいがある人がこれらに内容のほとんどに当てはまるからです。
しかし
ここに挙げた作業療法の対象となる人は、必ずしも疾患や障がいを持っている人ばかりではありません。
例えば‥‥
仕事一本で毎日を送っていた人が定年退職などで仕事を辞めたとたんに、自分にとって人生の目的や意味を感じらるものがなくなることがよくあります。
息子が結婚し、息子夫婦が家事をしてくれるようになったのでやることがなくなり、他に何をしていいかわからない人もいます。
高齢者の場合、病気はないけれど
加齢に伴ってそれまで担ってきた役割をやめることによって、自分の支えとなる作業を失ってしまう人は少なくありません。
また、していたことが大変になったためにやめたが、他にしたいことが見つからないでいる人もいます。
このように作業に問題がある状態が続くと、身体的にも精神的にも能力が低下するため、健康を損ね、病気になる人が少なくありません。
そこで現在は、まだ病気になっていないので健康だと思われているが作業に問題があるという人の健康増進にも作業療法士が関わるようになりました。
また個人だけに対してではなく、集団に対しても介入・支援をおこないます。
作業療法士が関わる分野は非常に幅が広く、面白い職業だと思ってます。
発達障害と栄養 3
今日は、リーキーガット症候群(腸管壁侵漏)症候群になりえる2つ目の原因の『抗生物質』について書きます。
以前のブログで乳児のうちは腸粘膜が未熟なため、離乳食のタンパク質の分解が未消化になる可能性を話しました。
それによってリーキーガット症候群が起こる可能性があります。
今回も腸と関連する話をするんですが、
「抗生物質と何が関係するの?」と疑問に思われる方もいると思います。
関係があるお話なので少しだけ見ていただけると嬉しいです(^_^)
乳幼児の時期は
免疫力がまだ弱く、さまざまな感染症にかかりやすいです。
そのこと自体は悪くありません。
体に入ったウイルスや細菌を自分の免疫でやっつけることを繰り返して、子どもの免疫機能は高まっていくからです。
しかし‥‥
病院に行くと、軽い風邪程度でも抗生物質が処方されることがあります。
抗生物質は感染症の原因となる細菌を退治しますが、それだけでなく腸内細菌をも死滅させる副作用があります。
腸内細菌には腸に役立つ善玉菌と、害を与える悪玉菌があり、
この2つのバランスが保たれていれば特に問題はありません。
しかし、抗生物質の影響で腸内細菌のバランスが崩れると、悪玉菌が優性となってしまうこともあります。
悪玉菌の勢力が強くなると、腸の免疫機能が低下します。
すると
ウイルスや、ばい菌などが腸内で繁殖しやすくなり、腸粘膜が荒れるという結果になってしまいます。
次は、リーキーガット症候群の原因の『カンジダ菌』についてお話します。
発達障害と栄養 2
前回に引き続き、発達障がいと栄養の関連性について書きます。
今回はリーキーガット(腸管壁侵漏)症候群になる原因について書きます(^_^)
前回、リーキーガット症候群とは小腸の粘膜が荒れてしまっていることを指すと話しました。
では、どうして小腸の粘膜は荒れてしまうのか?
その理由として挙げられるのが
今日は1つ目の早期の離乳食についてだけ話します。
腸の粘膜を含む消化機能は、生後すぐには未成熟な状態です。
赤ちゃんは母乳や乳児用のミルクしか飲むことができませんが、これは母乳成分を分解する消化酵素しか分泌されないからです。
乳児の腸で母乳以外に含まれるタンパク質を分解できる消化酵素が十分に分泌されるのは、生後1年ほど経ってからです。
しかし
現代では、離乳食を生後5ヶ月くらいの早い時期から与えることが推奨されています。
乳児には母乳以外の食物を分解する消化酵素が十分にないため、離乳食に含まれるタンパク質が未消化になる可能性があります。
乳児のうちは、腸の粘膜も未成熟なため、分子量の大きい未消化タンパク質があっさりと腸粘膜を通過してしまうのです。
すると
腸でアレルギー反応による炎症が起こり、未成熟な腸に機能がますます低下すると考えられています。
次回は、リーキーガット症候群の原因の2つ目『抗生物質』について書きたいと思います(^_^)/
発達障害と栄養 1
タイトルの発達障がいと栄養って関係するの?って聞かれそうですが、
関係するという研究がされてる本を読んだので、少しだけ紹介していきたいと思います。
ここでは、腸粘膜が荒れてしまう『リーキーガット症候群』についてお話します。
その前に食べ物を消化するメカニズムについて簡単に説明します。
私たちの食べた物は、消化酵素の働きにより、口や胃や腸で小さく分解されます。
分解された栄養素は、主に小腸で吸収されて血液中へと取り込まれます。
この小腸の粘膜に、未消化タンパク質など有害な物質を通さない仕組みがあります。
小腸の粘膜は絨毛という小さな突起で覆わていて、その絨毛はさらに小さな微絨毛という突起で覆われています。
この小腸粘膜の構造は、例えるならば非常に目の細かい網目のようなもので、小さな分子しか通ることができません。
分子量が大きい未消化タンパク質は通過すことができないので、吸収されることなく小腸を通り過ぎ、体外へと排出されます。これが本来のあるべき腸の状態です。
しかし、
発達障がいの子の小腸では、この微絨毛の表面が荒れてところどころ破れているような状態となっています。
これにより、大きな分子量の未消化タンパク質(グルテモルフィンやカゾモルフィンなど)が通り抜け、血液中へと流れ混んでしまうのです。
このような腸の異常が
リーキーガット(腸管壁侵漏)症候群
と呼ばれています。
ところで、
グルテモルフィンやカゾモルフィンとは何か?
これには小麦に含まれるタンパク質であるグルテンと、乳製品に含まれるタンパク質のカゼインが関係しているのですが、
自閉スペクトラム症の子どもは、タンパク質を分解す酵素の働きが十分ではなく、グルテンやカゼインを完全に分解できないといわれています。
その結果、グルテンがグルテモルフィンという物質に、カゼインがカゾモルフィンという物質に変化します。
グルテモルフィンとカゾモルフィンの分子構造は、アヘンに含まれる麻薬物質であるモルヒネと非常によく似ています。
つまり、モルヒネと同様に、グルテモルフィンやカゾモルフィンが血流中に入り込み、脳に達すると麻薬のように作用する可能性があるのです。
モルヒネの使用で見られる症状として、精神の高揚、興奮、痛みに鈍感になる、頭がぼーっとして思考ができなくなるなどがありますが、
グルテモルフィンやカゾモルフィンが脳内の侵入した自閉スペクトラム症の子どもにも同じような症状が見られます。
自閉スペクトラム症の子どもの中には、壁に頭を打ちつけるなどの自傷行動をする子がいますが、これも麻薬作用をもつ物質により麻痺した感覚や思考を自ら刺激しようとしているのだ、という説があります。
では、どうして小腸の粘膜は荒れてしまうのでしょうか。
その理由として挙げられる内容を次のブログで書こうと思います(^_^)
文字ばかりが羅列して見づらいブログとなってますが、本格的にブログを書けるように改善していきたいと思います^_^;
作業って何だろう
ブログを始めて毎日1記事書くことを目標にしてましたが全然かけてませんね(笑)
毎日ちょっとずつでも書いていきたいところです‥‥
今日は、『作業科学』について少し書きます。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm35072290
作業科学って聞き慣れない言葉ですよね。
作業とは、人が何かを行うことです。
さわやかに目覚め、お気に入りの服に着替え、やりがいのある仕事をし、美味しい夕食を食べ、ゆっくり風呂に入り、穏やかな眠りにつくといった日常を送ることができれば、人は健康で幸せです。
ところが、
病気や怪我をしてしまい、起き上がることも大変で、服を着るにも一苦労、仕事も趣味もなく、空腹を満たすだけの食事は味気なく、面倒くさいので風呂にも入らず、なかなか眠ることができなければ、翌日からも不健康な生活が続くことになると思います。
例えば、
スポーツ好きな人がスポーツをすることができなくなったら、スポーツできないばかりでなく、自分自身をスポーツマンだと思うこともできなくなります。
着る服も変わり、生活習慣も変わり、日常出会う人の顔ぶれも変わります。
しかし、自分でスポーツをすることはできなくても、スポーツ観戦に行く、後輩の選手にアドバイスをする、などという作業を行う機会があれば、自分自身を以前と同様にスポーツの専門家だと認めることができるようになるかもしれません。
自分にとって大切な何かをすることで自分を取り戻し、社会の中での居場所を得ることができるのです。
このように、作業を通して社会参加を実現する方法として作業療法があります。
作業療法は、治療のために作業を使う知識や技術ですが、1980年代後半から、治療として作業を使う前に、作業そのものについて、もっと考えてみようという動きが世界のあちこちで起こってきました。
こうして誕生したのが
作業科学
(Occupational science)
です。
作業科学は、作業を探求する学問です。
社会学(sociology)が社会を、
行動科学(Behavioral science)が行動を探求するように、
作業科学(occupational science)では作業を探求していきます。
つまり、
「作業って何だろう」と問い続けることが作業科学なのです。
まだまだ勉強中ですが、作業科学に出会ってから作業療法の深みや作業科学の面白さや複雑さ、色んなものが見えて、ますます作業療法が好きになりました。
もっと作業について考えられていけるよう探求していきたいものです♪
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!