OT YueiのHabil(ハビリ)ブログ

発達特性のある子どもたちに作業療法士として関わっています。作業科学や作業療法、発達特性の理解や支援、発達障がいと栄養の関連性などについて書いていきます。

そもそもリハビリテーションって何?

今日はリハビリテーションについて話していきたいと思います。


リハビリテーションと聞いてどんなイメージを持ちますか?


リハビリ=機能訓練、というイメージを持ってる人は多いと思います。
実際、現場でも対象者からはそういうイメージで話されることも多く、リハビリテーション職以外の他職種からも機能訓練という意味合いで話されることが多々あります。


そもそも
リハビリテーションは英語で書くと


Rehabilitation


と書きます。


元々、リハビリテーションラテン語のHabil(有能、役立つ、生きる)という言葉から生Habilisは「人間らしい」、「できる」という語で
病気や怪我などをした場合に再びHabilの状態の戻す、
つまりRe-Habilしていくという意味です。


日本語でいうなれば、「再び人間らしく生きる」、「再びできるようにする」、「元の生活機能を取り戻す」などの意味合いとなります。


今、僕は発達障がいの子どもたちに関わっていますが、発達障がいのリハビリテーションという言葉もあります。


しかし、発達障がいに対してリハビリテーションという言葉は、上に書いたような意味合いを考えると適した言葉ではないと感じます。


なぜなら、発達障がいに関しては自閉スペクトラム症ADHD、発達性協調運動障害、ダウン症、コルネリア・デランゲ症候群などの生まれつきの器質的あるいは遺伝子的な理由から「再び人間らしく生きる」、「再びできるようにする」の“再び”といった意味とは異なると思っています。


そのためリハビリテーションではなく


ハビリテーション(habilitation)

の考え方になります。


より良く生きていける状態になるよう支援していくことが目的となりますね。


ハビリテーションの考えは1950年代からです。
生まれつき身体障がいを持つ児童に対するケアの中で、児童やその家族などの状況やニーズへの関心や理解が深まり、特にイギリス・オランダ・アメリカなどで児童に対する「ハビリテーション」の考えが発達してきました。
生まれつき機能障がいを持つ児童、あるいは自閉スペクトラム症やその他、生まれてから早期に機能障がいを持つ児童は、「元に戻す」のではなく、その状況を基点として、その人が持つ機能の発達に焦点を当てなければならないわけです。
つまり、回復を見込んで治療するのではなく、その機能を有能化していくということになります。


どうしてわざわざ、リハビリテーション・ハビリテーションについて書いたかというと、僕たち専門職が言葉の意味をわからず使っていれば、リハビリテーションに対する誤解が広がっていくこと思うからです。


それは、作業療法士のいう“作業”と一般的にイメージされる“作業”のように、
名前が持つ言葉の意味を大切にしたいという気持ちもあって書きました。